相談されやすい人は、信頼されているとか、頼りがいがあるとか、話しやすいタイプだと思います。
人として、信頼されているという証でもあるので、相談されない人は羨ましく感じるのではないでしょうか。
「なぜ私は相談されることがないのだろう」と思っている人でも、過去をさかのぼれば一度や二度は誰かから相談を受けたことがあると思います。
その時のことをよく思い出してみましょう。
「私も同じ経験があるからよくわかるよ」とか「その気持ちはすごくよくわかるよ」など、相談した人の気持ちに寄り添ったつもりで「よくわかるよ」と言っていませんでしたか?
「よくわかるよ」の何かダメなの?
共感できるってことだから、悪くないよね
たしかにそう言われればそうなのです。
ですが、相談している人の気持ちになってみると「よくわかるよ」がNGワードになることもあるのですよ。
なぜなのか、その理由を解説しましょう。
「よくわかるよ」の裏返し
相談している人にとって、相談相手から「よくわかるよ」と言われるのは、自分の気持ちを理解してくれるということなので、それだけでダメなわけではありません。
問題は「よくわかるよ」の言葉の前後に、不要な言葉がくっついていることが問題なのです。
不要な言葉の例と、それがなぜ問題なのか見ていきましょう。
誰にでもある
相談している内容に対して、「誰にでもあることだから、よくわかるよ」と言ってしまうと、相談者はどう感じるでしょう。
自分の悩みは誰にでもあることで、深刻に考えたり、悩んだりするようなことではないと言われているような気持ちになってしまうかも知れません。
「私の悩みは誰にでもあることだから、悩む必要はないんだ」と前向きに受け止められる人なら良いのですが、悩んでいる時はネガティブ思考になりがちです。
「誰にでもあることだから、よくわかるよ」と言うのは、相談している人の悩みが平凡で些細なことだと思っているように受け止められる恐れがあるのです。
同じ経験をしてる
つらい出来事について人に話した時に「私も同じ経験しているからよくわかるよ」と言われると、少し心強く感じる人もいると思います。
ですが、そう思わない人もいます。
人はそれぞれ生きる境遇も環境も違うのですから、似たような経験があったとしても、まったく同じ経験をすることはありません。
「同じ経験をしているからよくわかるよ」と言われると、自分のつらい出来事がありふれたことだと言われたような気になってしまうのです。
相談している人は、自分の身に起きた出来事を重大なことだと感じているから聞いて欲しいのではないでしょうか。
あなただけじゃない
相談している人に対して「よくわかるよ。でもあなただけじゃないから」と言われて悩みが晴れる人はほとんどいないでしょう。
「あなただけじゃない」という言葉の裏側には「みんな大変なんだから、そんなことで悩むなんて・・」というニュアンスが聞き取れます。
悩みに対して真剣に向き合ってくれない人という印象になってしまうでしょう。
相談者の気持ちを読む
相談を受けやすい人は、人の気持ちをくみ取るのが上手いと思います。
相談している人が、何を求めているのか、その気持ちを想像しながら話を聞いています。
たとえば、共感を求めて相談している人には「よくわかるよ」という答えは正解です。
相手にわかって欲しくて話しているのですから、ダメな言葉ではないのです。
共感ではなく、不幸な出来事や問題に対して同情や労いを求めている人には「よくわかるよ」は言わない方が良いでしょう。
「普通の人なら、とっくに壊れているわよ。あなたの強さは尊敬に値する」
自分の身に起きた出来事が、どれほどつらいことなのか理解してもらったような気持ちになれるのではないかと思います。
「よくわかるよ」に代わる言葉
相談されたときに、相手の気持ちに寄り添いたくて「よくわかるよ」と言いたくなる時には、別の言葉に言い換えてみましょう。
私には同じ経験がないから、あなたの気持ちを想像することしかできないけど
あなたのつらい気持ちは、あなたにしかわからないと思うけれど、少しでもあなたの気持ちに近づけるように考えてみる
「よくわかるよ」という言葉に代えて、相談している人が何を求めているのか考えながら、寄り添う気持ちでいることを伝えてみましょう。
悩みを軽く聞き流さずに、理解しようとしてくれていることが伝わります。
まとめ
何か悩み事を聞いてもらった時に「よくわかるよ」と簡単に返すのは、無責任な印象を与えかねないのです。
相談する人にとっては、とても重大なことかも知れないのですから、その気持ちを読み取る努力をしなければ、相談される人にはなれないのではないでしょうか。