猫のからだは体毛に覆われているので、小さな傷やできものがあっても、出血などが見られないと気が付かないこともあります。
毎日すみずみまで愛猫の体を触って、観察していても、毛の下に隠れる傷や腫れを見つけるのは簡単なことではありませんよね。
じつは我が家の息子猫くんの目の上に小さなイボのようなものができました。
見つけた時は、ひっかき傷のような赤い線があったので、同居猫とじゃれていて傷ついたのか、自分でひっかいたくらいにしか思っていませんでした。
抗菌と抗炎症作用のある軟膏を塗って様子を見たのですが、1日経っても小さな膨らみはそのままです。
心配になって病院へ連れていっても、軟膏を塗って様子を見るようにという診断でした。
この時に嫌な予感というか胸騒ぎがした私は、細胞診という検査を希望することにしました。
今回は猫の腫瘍について、覚書として残しておきます。
同じようなことで悩んでいる愛猫家の方の参考になれば幸いです。
猫の表皮のできもの
息子猫の目の上にできた小さなイボのような膨らみは、水ぶくれのようにも見える腫れで、大きさは5㎜にも満たないものです。
かゆがることもなく、痛がる様子もないので、傷から炎症を起こしているわけでもなさそうだと思って病院へ連れていきました。
我が家の猫たちがいつもお世話になっている動物病院は、設備が整っている大きな病院ではないのですが、それほど深刻なものではないと当初は思っていました。
医師の診断は「たぶん傷から炎症を起こしたのだろう」ということで、いつも処方してもらっている「ネオメドロールEE」という軟膏を塗って1週間後に再受診することになりました。
この病院は「ネオメドロールEE」という軟膏が好きなようで、娘猫の鼻炎や結膜炎、息子猫の涙目など全てこの軟膏の処方です。
飲み薬が苦手な子がいるので仕方ないのですが、何にでも効くわけじゃないと思うので、少し不安になります。
数日経っても全く変化がないので、だんだんと怖くなってネットで検索してみると、恐ろしいことばかりで泣きたくなってきます。
しかし、怖がってばかりはいられません。
どうやら、猫の顔や首などにできるイボのようなものは肥満細胞腫というガンに分類される腫瘍かも知れないということがわかったのです。
肥満細胞腫といっても、うちの息子猫がおデブだというわけではありません。
肥満細胞が病変して腫瘍となるものなんだそうです。
猫の皮膚にできる腫瘍では、2番目に多いんだとか。
そして、この肥満細胞腫は内臓にできるタイプもあるらしく、もしも内臓型が皮膚に転移した場合は、かなり危険度も増すらしい。
ただ、うちの息子猫は今のところ1つしか確認できていないし、内臓に腫瘍ができた場合の症状は出ていない。
もしも肥満細胞腫だったとしても、切除すれば命にかかわるような危険度は低いのではないかと。
いずれにしても、イボのようなものが何なのか、正体を突き止めることが先決だと思ったのです。
もしも切除するにしても、できるだけ小さい段階の方が負担も少ないのではないかと考えました。
1週間後の再受診
1度目の受診後、1日2回、軟膏を塗ってできものが小さくなってくれるのを期待しましたが、どうやら変化はありません。
傷のように見えた赤みは消えましたが、小さな膨らみは大きくも小さくもならず変化なし。これはもう早めに切除して病理検査をしてもらわないとダメだ!と思いながら2回目の受診をしました。
医師は「もう少し様子を見てみましょう」と。
それが2度続きました。
これではまた1週間、心配しながら過ごさなければいけないので、思い切ってこちらから「細胞
診の検査はできませんか?」と切り出しました。
細胞診の検査とは、できものから針を使って細胞をとって検査する方法です。
猫の皮膚にできる腫瘍は、悪性の割合が高いと言われているので、良性なのか悪性なのか調べる方法として細胞診を行うことが多いのです。
切除して検査する方法がもっとも確実なのでしょうが、まずは悪性の疑いがないのか知りたかったのです。
それがわからないのに、また「様子を見てみましょう」はあまりにも不安過ぎます。
様子を見ている間にも、大きくなってしまったり、悪性のものであれば転移する恐れだってあります。
心配性な飼い主だと思われたかも知れませんが、こちらから言い出さなければいつまで経っても「様子を見ましょう」のまま時間だけが過ぎるような気がしたのです。
細胞診は麻酔なしで、すぐに終わりました。
院内では検査ができないので、外部に出して1週間ほどで結果が出ます。
それまでは、効果はないかも知れないけど、ネオメドロールという軟膏薬を使って、悪性ではないことを祈るしかできませんでした。
細胞診の結果
細胞診の結果は、電話してもらうことになっていました。
結果はやはり肥満細胞腫でした。
担当医師は、猫ちゃんの皮膚にできる肥満細胞腫は切除すれば再発や転移するような悪性のものは少ないという説明でした。
私がネットで色んな獣医さんの記事を読んで理解していた通りの説明です。
少し強引かと思ったけど、細胞診を頼み込んで良かった・・。
とにかく大きくなる前に、早く切除することと、内臓にできる肥満細胞腫からの転移ではないことを祈るしかありません。
小さなカラダで一生懸命に生きている息子猫を抱きながら、家族みんなで頑張って支えていかなければいけないという気持ちを強くししました。
そして、スマホの画像をさかのぼって見てみると、毛があるのでわかりにくいのですが、何となくできものらしきものの存在がわかりました。
いつも顔をジーっと見つめているから、すごく早く気が付いたと思っていたけど、もっとじっくり見ていれば、あと2週間くらいは早く気が付いてあげられていたかも知れません。
そうすれば、今頃はもう切除も無事に済んで、傷の治りを見守っていたのではないか・・と。
これからはもっと丁寧に見てあげたいと思うようになりました。
獣医よりも飼い主は愛猫の専門家
肥満細胞腫という腫瘍は、大きさもカタチも色も部位もバラバラなので、獣医師でも気が付かないまま見逃してしまうことがよくあるそうです。
今回は運よく目の上だったので、早く気が付いたのは不幸中の幸いでした。
かかりつけの動物病院の医師の診断が曖昧だったので、前のめりになって検査を頼み込みましたが、医師の言うままに従がうのが良い飼い主ではないと痛感しました。
どんなに専門的な知識を持っている獣医師でも、我が子として毎日接している飼い主にまさる専門家はいないのです。
「うちの猫たちの健康を守るための専門家は私なんだ!」という気持を強くした今回の出来事でした。
息子猫の肥満細胞腫の切除手術については、また後日お伝えしたいと思います。