周りにいる人の気持ちがわからないよりも、わかる方が良いと思う反面、わかり過ぎるのはツラいものです。
それは人間に対してだけとは限りません。
私は保護猫と暮らしていますから、動物に関するニュースにはつい敏感に反応してしまいます。
たとえば人間に傷つけられる動物のことがニュースになると、その動物たちの苦しみや痛みを想像しては、自分のことのように苦しくなります。
動物を題材にした映画なども、ほのぼのとしたストーリーの中にほんの少し可哀想な部分があるだけで苦しくなるので、観ないようにしています。
人の気持ちがわかり過ぎる人は、人間だけじゃなく動物にも共感しやすい傾向があるのです。
このような人の気持ちがわかり過ぎ過ぎることをHSPと呼ぶのです。
HSPは、生きているだけで心が疲れやすいので、精神面から体調を崩しやすくなることもあります。
どうしたらHSPでも、ラクに生きられるようになるのか、考えてみました。
HSPとは
HSPは、1996年にアメリカの心理学者が提唱したことがきっかけで世界に知られるようになりました。
HSPとは、Highly Sensitive Personの略です。
とても繊細で、人の気持ちや外からの刺激に敏感な気質の持ち主のことを表しています。
生まれつきの気質であり、5人に1人程度の割合でHSPと言われています。
HSPには、4つの特性(DOES)があります。
自分にも同じようなことがあるのか、まずチェックしてみましょう。
D
Deep of processingとは、物事を深く考えることです。
・色々な角度から物事を考える
・1つのことを深く掘り下げるため知識量が豊富
O
Overstmulationとは、刺激を受け過ぎてしまうことです。
・大きな音が苦手
・人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れない
・友達と過ごすのは楽しいのに疲れてしまう
・些細なことでひどく驚いてしまう
・芸術や音楽に感動しやすい
E
Empathy and emotionl responsivenessとは、共感する能力が高いことです。
・他者との心理的境界線が薄い
・他人が叱責されていると自分もツラくなる
・物語の登場人物に感情移入して、泣いてしまう
・人の表情や言葉、仕草などで機嫌の良し悪しを感じてしまう
S
Sensitivety to subtletiesとは、些細なことに気が付いてしまうことです。
・日差しや強い光に弱い
・カフェインなどの刺激物や添加物に過敏
・皮膚に触れる刺激に過敏
HSPのセルフチェック
HSPの4つの特性を見て、自分にも当てはまると思った方は、セルフチェックをしてみましょう。
12個以上当てはまるのなら、HSPの可能性が高いというテストです。
- 自分を取り巻く環境の変化によく気が付く
- 他者の気分に影響を受けやすい
- 痛みにとても敏感
- 忙しい日が続くと、一人になれる場所にこもりたくなる
- カフェインを摂ると体調に影響しやすい
- 明るい光、強いニオイ、肌触りの悪い衣類が苦手
- 想像力に富んでいて、空想することが多い
- 騒音が気になる
- 美術や音楽に心が動かされる
- 良心的である
- 些細な事ですぐに驚く
- 短期間に複数のことをすると混乱してしまう
- 誰かが不快になると、快適にする方法に気が付く
- 一度に色々と頼まれるのは苦手
- 忘れ物などのミスがないようにいつも気を付けている
- 暴力的な映画やドラマは観たくない
- 周囲で色々なことが起こると不快になる
- 空腹状態では集中できず、気分が悪くなる
- 生活パターンが変わると混乱する
- デリケートな香り、色、味、音楽を好む
- 日頃から動揺するようなことは避けている
- 競争させられる、観察されると緊張から実力が出せない
- 子供の頃は周囲の大人に「内気」「敏感」と言われた
以上の23個の項目のうち、自分に当てはまることがいくつあるかチェックしてみましょう。
HSPは病気じゃない
HSPの気質の人は、普通に暮らしているだけで気疲れしやすいのですが、それだけでは病気でも何でもありません。
ただ、HSPじゃない人に比べて、繊細であり、過敏に感じてしまうだけのことです。
とはいえ、そうやって気疲れする毎日を送っていると、メンタルをすり減らしてしまいます。
結果的にうつ病などの精神的な病気になりやすいのも間違いありません。
持って生まれた気質なので、それを変えるわけにもいかないのが困るのですよね。
ですが、自分がHSPだとわかったことで、何となく気持ちが軽くなる人もいます。
HSPという気質と向き合うことで、上手く生きる秘訣のようなものが見つけられるといいですよね。
HSPの生き方ヒント
HSPの人が一番ツラいと感じるのは、周りの雰囲気を敏感に察知してしまうことではないでしょうか。
感動しやすいとか、刺激に敏感なのことよりも、人間関係の気疲れを感じやすいことです。
そんな時に、気持ちをラクにするコツは、HSPは5人に1人の割合なので、約20%しかいないという数字を思い浮かべることです。
20%の人は、周りの雰囲気を感じやすいのに対して、80%は気にしていないのです。
自分が気にしていても、相手は何も気にしていないのであれば、気を使わなくなるはずです。
HSPは少数派なので、自分が気が付いて、気を使っていても、それすら気にしていない人の方が圧倒的に多いのです。
そう考えれば、少しは気がラクになるのではないでしょうか。
それでも疲れてしまう時には、人との接触を断って、自分だけの空間でゆっくり過ごす時間を作ります。
無理に友達を作ろうとしたり、社交的になろうとせずに、自分が心地よいのであれば孤独を楽しめば良いと思います。
まとめ
私は長年、自分が人の顔色をうかがい過ぎることに悩んできました。
なぜそうなってしまったのか、心理カウンセリングを受けたこともあります。
最近になって、HSPを知り、まさに自分のことだと思ってホッとしたのです。
同じように、生きるだけで疲れてしまう人がいると思うだけで、安心できますよね。
気疲れが限界を超えないように、適度に自分だけの世界に閉じこもるのも良いのではないでしょうか。