昔は子猫や子犬を拾って自分の家で飼うことも多かったと思います。
ペットショップで動物を購入するよりも、ずっとその方が良いとは思いますが、子猫や子犬を保護しても家で飼えなければ、行政に引き取ってもらうことになってしまいます。
でも、その先に待っているのは悲しい現実です。
だからこそ、保護した命は大切にしてくれる里親さんを見つけてあげたいのです。
今回は、私自身が経験した子猫の保護から里親に引き渡すまでの流れについてまとめています。
子猫の保護から人に慣れさせるまで
外で子猫を偶然保護した場合でも、まだ母猫から離乳していないような子猫なら人に慣れるのは簡単です。
ミルクを与えて温めて、トイレのお世話をしてあげれば自然に人に慣れます。
問題は母猫から離れ始めた頃の生後2ヵ月~3ヵ月くらいの子猫です。
子猫は生後3ヵ月くらいまで母猫のそばで暮らしていると、母親から猫の社会性を教えられます。
人間を敵として見ている母猫に育てられれば、子猫は人間を警戒します。
たとえ保護されて、あたたかい寝場所を提供されて、美味しいご飯を与えてくれても、そんなに簡単には人間に慣れないかも知れないのです。
人間の家で飼われている母猫から生まれた子猫なら、人間を敵と思わないので慣れるのも簡単ですが、野良猫から生まれた子猫は人間を怖がったり警戒するものと考えて、まずは人に慣ら
すために接していかなければいけません。
ケージの中から人を見せる
まず、保護したばかりの猫を自由に人間の生活するスペースに放すのは危険がいっぱいです。
猫は「まさか」と思うような狭いところでも入り込みます。
我が家の猫は家具に上って、その裏に落ちてしまったこともあります。
家具を移動させて救出しましたが、子猫が安全に動き回れる空間じゃないかぎり解放するのはやめましょう。
とりあえず子猫を保護した際にはケージは必要だと思います。
キャットケージは2段、3段と高さのあるものが多いですが、一時的に保護するためなら1段ケージでも良いです。
もしも費用をかけられないのなら、100円ショップのワイヤーネットを結束バンドなどで付いぎ合わせて、簡易的なケージを作っても良いと思います。
我が家では100円ショップのワイヤーネットがいたるところに張り巡らされていますから、猫を保護した時には数枚を外して簡易ケージを作りました。
保護して間もない子猫は、まず「人間ってどんな生き物?」という疑問を自らの目で確認させる時間が必要です。
ケージの中にトイレと水と隠れるための毛布などを入れて、ご飯とトイレの世話以外はあまり構わないようにして1日~3日ほど過ごします。
徐々に人間の動きを見ながら安全だとわかるようになると、ご飯のお世話をする時にさわってもシャーシャー言わなくなります。
そうなれば、人間に対する警戒心はかなり薄れています。
これが成猫になると、数日ではシャーシャーはおさまらず、どれほど時間をかけても触れないこともあります。
子猫だからこそ、数日慣れさせることができるので、里親探しもスムーズなのです。
隠れる場所を作りながら行動範囲を広げる
ケージの中に手を入れても威嚇してシャーシャー言ったり、猫パンチが出なくなったら、安全なスペースを作ってケージの中から出して運動させてあげましょう。
子猫は好奇心が旺盛なので、部屋の中を動き回りますから、危険なものは片付けてくださいね。
ねこじゃらしなどで遊びながら、徐々に子猫との距離感を縮めます。
ケージの外に出て遊べるようになると、ケージに戻すと鳴いて「出して~」と訴えるようになるかも知れません。
そろそろ本格的に里親さんを見つける準備に取り掛かってください。
猫のペースで待ってみる
子猫なので警戒心もすぐに薄れますし、遊びたい盛りなので、おもちゃで遊ぶと喜びます。
そうなれば撫でたり、抱っこすることもできるようになります。
ですが、猫の個体差によってはなかなか触らせてくれない子もいます。
とくに抱っこが苦手な子もいるので、無理強いはしないで猫が自分から近寄るまで待ってあげてください。
ケージから出ている時に、人の足元にすり寄って身体を触れさせるようになれば、もう大丈夫です。
スリスリしたいほど慣れているので、撫でてあげるとゴロゴロと喉を鳴らしてくれるのも時間の問題ですよ。
里親の候補を絞る
里親の募集方法はいくつもあります。
里親募集サイトは同時に数か所登録もできるので、多くの人の目に触れる機会が増えます。
ちなみに私はネコジルシ、いつでも里親募集中、ペットのおうち、ハグー、ジモティーに登録しました。
他にも、管轄の動物愛護センターの里親募集コーナーにも掲載しました。
地元の不動産会社が定期的にポスティング配布しているチラシなどに掲載するのも効果的な方法です。
あとはかわいい写真をプリントして、里親募集のチラシを作って動物病院の待合室やスーパーの掲示板などに貼るのもアナログですが地元で里親さんを見つけやすいと思います。
数件の問い合わせがあった段階で、候補者を絞って飼育条件などの確認に進みます。
里親候補へのアンケート
里親募集サイトには、細かい応募条件を掲載できるので、その条件をクリアできる人以外は候補から外せます。
問題はチラシなどで直接問合せを受けた場合です。
チラシなどには細かい条件を書けないので、詳しくは問合せを受けてから説明することになります。
その場合には、質問することをまとめてアンケートを作ることをおすすめします。
アンケートの質問内容
・先住猫はいますか?
・飼育環境(戸建・集合住宅)
・ペット飼育可の物件ですか?
・猫アレルギーではありませんか?
・ご家族全員が同意されていますか?
以上のような項目です。
また、完全室内飼育は必須にして欲しいですね。
外飼いは危険ですから。
20年近くの寿命を考えると、60歳以上の方だけの世帯には子猫の譲渡はしない方が良いと思います。
単身の世帯も候補に入れない方が安全です。
どうしても・・という方には、後見人は必要です。
また、多頭飼育による崩壊を防ぐためにも、生後6か月ほどを目安に避妊・去勢の手術を受けることも必須条件としてください。
里親宅への訪問
里親さんの有力候補が絞り込めたら、できればお宅を訪問して飼育状況を見せてもらえると安心です。
その時に脱走防止対策のアドバイスを聞いてくれる方なら、なお安心できます。
もしもお宅を訪問して確認するのが難しい場合でも、引き渡しはお届けが絶対条件です。
その時までに脱走防止対策をしてくれているのか、確認して引き渡しを決めます。
事前の自宅への訪問はなかなか難しいとしても、引き渡しの場所は自宅が絶対なので、その時点で渋るような人には間違っても猫を渡してはいけません。
近くの駅で受け取るとか、どこかの駐車場でとか・・。
そんなことを言い出す人には、絶対に渡さないでください。
世の中には、信じられないようなひどい人間がいます。
里親詐欺に騙されて、せっかく救った命を台無しにしてしまうことのないようにしてください。
早く里親を見つけたい一心で、相手のことも確認せずに引き渡すのは、とても罪深いことです。
自分の力で里親を見つける自信がないのなら、保護団体などに託して欲しいです。
里親譲渡誓約書の作成
里親さんに引き渡す際には、「里親譲渡誓約書」というのを作成します。
2部印刷して、それぞれに署名をして1部ずつ保管します。
里親譲渡誓約書は、自分で文言を作っても良いのですが、難しい場合は里親募集サイトなどにテンプレートがあるので利用できます。
テンプレートをお手本にして、自分で文言を付け加えて作成することもできるので、確認したい事項や守って欲しい約束事などを入れてもいいと思います。
事前に里親譲渡誓約書を里親さん候補に見てもらって、納得の上で譲渡できれば安心できるのではないでしょうか。